マネタイズの話第3回目はちょっとタイトルを変えて、マネタイズとゲームデザインの重要性について私の考えをまとめてみようと思います。
最近主流のマネタイズは、前回のとおり、
- 課金アイテム
- DLC
- クリック型広告
- リワード広告
ですが、何も考えなしにこれらを実装しても、ゲームとの関係性によっては見向きもされません。
そこで、個人的に考えてきたマネタイズゲームデザインパターンに当てはめて、どう誘導すればいいか、どう実装していけばいいかを考えてみます。
- 一時能力向上(エンチャント)
これを使えば、一定期間攻撃力アップや経験値アップなどがこれにあたります。
単体での課金額を少なめに設定し、薄利多売モデルとなります。
これの重要なところは、アップしたいと思うようなレベルデザインです。
プレイ進行につれ、単純に繰り返しプレイだけではレベルアップしにくい、クリアしにくいようにし、なぜ進行速度が遅くなってしまったかを明確に表示することで、エンチャントしないとダメと思わせることが必要です。
また繰り返し使ってもらうことが最重要になるため、エンチャント効果によりアップした結果の値を別に表示するなど、効果がしっかりと発動している表示も欠かせません。たとえば、攻撃力アップならダメージ表示を「200(+10)」とし、本来ならダメージ190のところをエンチャントにより+10、結果200になった。と分かりやすくします。
ここで、もしHPが195の敵がいれば、1発で倒せるか2発じゃないといけないか大きな違いが生じるため、効果が大きいです。
この場合、もちろん敵のHP表示(ゲージなど)もあったほうがいいでしょう。もう少しで倒せるのに2発必要。と思わせることが誘導要素になります。
ついでに、1発で倒せたら経験値ボーナスが入るなど、相乗効果を入れておくことで、単なる時間短縮からエンチャントしておいたほうがお得と思わせることが出来ます
(実際お得なんですが、1パラメータがちょっとあがるだけでは見向きもしてくれない方が多いですよね) - システム拡張(DLC)
主にDLCのストーリー追加やエリア拡張の話です。
1度買えば追加要素は何度も遊べる&コンテンツ新規追加なので開発コストもかかる、ということで若干高めの金額で販売することになると思います。
この形式でもっとも重要なのは、ストーリーやエリアがどれだけ魅力あるか、でしょうか。
販売するDLCの内容だけでなく、全体を通してストーリーの続きが気になるとか、他のエリアにはどんなステージが、ギミックが、新要素があるんだろうとか。
興味を誘い、プロモーションでチラ見せして、ちょっと買ってみようと誘導していくことが重要となります。
ゲーム内からも、DLCがどんな内容かのプロモーションへの誘導があるとベストで、さらには、実際に買った人の口コミが見れるような導線もあると、興味をより大きくすることができます。
基本的には買いきり商品なので、その辺のプロモーションも重要なわけですね。 - アンロック
もうひとつシステム拡張に似た要素としてカバン拡張などのアンロックがあります。
まず、カバン拡張ですが。最も重要なゲームデザインは、ぶっちゃけてしまうとゴミアイテムが鍵です。
ゴミアイテムとはいえ、カバンがいっぱいで入手できないとなると、「もったいない」と感じてしまうもの・・・
ゴミアイテムの処理方法に強化合成の素材にする、など別サイクルも必要ではありますが、ともかくカバン拡張を買ってもらうために、カバンを埋めるほどにアイテムがごろごろと出るデザインにしちゃいましょう。
また、様々なアイテムが大量に出るとそれだけでも収集意欲が沸いてくることもあるので相乗効果が期待できます。また、職業アンロックや装備アンロックなど、システム拡張とほぼ同じ狙いでアンロック要素を追加していくと、徐々にプレイスタイルを広げていける楽しさも狙えます。
詳しくは後述しますが、リワード広告モデルの場合では、特にリワードポイントの使い道が重要となるため、可能な限りアンロックし、リワードへの誘導に使うのが吉です。 - 収集&カスタマイズ要素
ただ単にアイテムの種類が多いだけでは、なんとなく集めてみるかーという人にしか受けませんよね。
そこで、集めた結果さらにそれらを組み合わせて遊べる要素が重要になります。
ざっと列挙してみると、強化、合成、進化、着せ替え、ハウジングなどです。
強化系では、そこからさらに成功率アップなどを入れると、一時効果上昇とも合わさって狙って売りやすくなると思います。
着せ替え&ハウジングはゲーム内効果の有無とは関係ナシに、集めて配置して見てくれが変わるだけでも効果が大きいです。
ある程度自由に変更できると、飽きてきた時の気分転換にもなるため引き止め効果もあります。カスタマイズはとりあえず抜きにして、収集要素でもっとも重要なのは、とにかく様々な方面のアイテムを量産することでしょう。
ネタとして面白いか、カワイイ衣装だから欲しいと思うか、とか。それぞれのアイテムでテーマを絞って、思いつく限りのアイテムを作っていきます。
万人受けするものだけ作ろうとしてはいけないでしょうし。
逆に個人の趣味に走るだけでもいけないと思います。
世の中にあるフェチを列挙して、自分が好きかどうかに関係なく、ネタを盛り込むことだけを考えるといいです。収集するアイテムの入手経路は、ゲーム内報酬や宝箱やガチャもありますね。
アイテムの種類が多いなら、入手経路も様々だとプレイの幅が広がるためより効果が大きいと思います。
リワード広告モデルでのゲームデザイン
ここからはケットシーウェアが選択したリワード広告モデルをベースにプレイサイクルを考えて見ます。
まずリワードポイントの使い道をざっくり決めると、
- エンチャントで消費する
- DLCで消費する
- アンロックで消費する
- ガチャで消費する
となりました。
そこから間接的に、
- 成長要素
- ストーリーやエリアなど、分割して配信できる要素
- カバン
- 装備可能かどうかのアンロックなど
- 強化、合成、進化など、アイテムを集めて消費してのサイクル
これらが必要かなーというところまで列挙できますね。
はい正直なところ、リワードだからとか関係なくプレイサイクル中で何かしらのポイントを消費して遊べる要素を列挙したに過ぎません。
ただ、リワードモデルを選んだからには、そのポイントを消費するゲームデザインが必要だということは分かってもらえるでしょうか。
単体販売だけだったりクリック型広告だったりすると、ゲーム内のデザインはもう思いつくまま、ある意味適当に作ってもいいわけですが。
課金アイテム、課金通貨、DLC、リワード広告はそうは行きません。
ポイント使用サイクルを練って、さらにプレイサイクルに密に組み込まなければなりません。
その分開発コストも掛かりますし。
ここが、ヒット作を生み出すもっとも難しい点ですね。
リワードポイントの入手経路
もうひとつ。最近のソーシャルゲームでは、特にフリーミアムが注目されているため、課金通貨やリワードを収益モデルに選んだとしても、入手経路がそれだけだと上手くいかない場合も多いのかもしれません。
そこで、ポイントの入手経路もまた、ゲームサイクルの中に組み込むことで、課金しなくて済む。ちょっと面倒なリワードのアクションを取らなくても済む。といった手段を用意しておくといいかもですね。
ケットシーウェアでは、
- はじめてプレイしてくれてありがとうボーナス
- はじめてのステージクリア。プレイ進めてくれてありがとうボーナス
- ステージクリア回数祝○回!何回もプレイしてくれてありがとうボーナス
- 毎日プレイしてくれてありがとうボーナス
- ツイートで口コミしてくれてありがとうボーナス
を考えています。
これらは、感謝の気持ちがベースになっていますので、他にもなにかあればどんどん盛り込んでいく予定です。
(もちろん、消費サイクルとの兼ね合いで限界もあるかもしれませんが・・・)
さて、ではでは今回はこんなところで。
無課金な収益モデルだからこそ、プレイサイクルも練ってちゃんと組み込んでいくぜ!
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